【韓国トレンドキーワード】 NEWTRO(ニュートロ) 絶対に抑えておきたい「韓国っぽ」の素のひとつ!

「NEW」と「RETRO」を合わせた造語。

または、「YOUNG」と「RETRO」を合わせ「YOUNGTRO(韓国語でヨントロ)」とも。

主役は、韓国で1990年代半に生まれた「M世代」、そして2000年代初頭に生まれた「Z世代」(=MZ世代)。つまり「10代後半~30代前半」のことだ。

この若者たちが1990年代以前のレトロ文化を「新しいもの」として楽しむことから生まれたブーム。さらにその上の30年代、40年代も「懐かしいもの」としてそれを捉えることができ、「2つのコア層」を作り出すことができる。

2010年代前半から徐々に始まり、2020年代の現在も韓国のトレンドに大きな影響を与えている。

韓国最大手の経済紙「毎日経済」はこう定義している。

「ニュートロとレトロは似ているようで違う。レトロは30代~50代が過去に対する懐かしさから復古にハマる現象だ。いっぽうニュートロの主体は10~20代。この世代が経験できなかった『昔のこと』に新しさを求め、復古に熱狂する現象がニュートロだ。既存のレトロにどんな新しさを加味したらニュートロという文化現象を説明できるか。過去のものをベースにしたうえで現時点の時代的状況と新しい感覚をつなげ、新しい形が生まれる傾向が強い」

例としてこんなものたちが。

「ウェリントン型メガネ」

pixabay

韓国語では「ポルテアンギョン」という。フレームが大きいメガネ。日本の40代以上には「アラレちゃんメガネ」が通じるか。韓国では80年代に流行したが、これが2000年代後半に「おしゃれアイテム」として再流行。ただしこれは2010年代以降、再び細長いフレームの流行に押される形に。現在ではなんでもかんでも流行りのフレームに、という考え方ではなく「顔の形に合ったメガネを」という考えが主流に。そのなかのひとつとしてこの形のフレームが定着している。

T-ARA「Roly-Poly」

2011年に発表された楽曲。80年代のクラブの雰囲気を再現した作品。各音源チャートで1位を獲得し、この年の韓国の大ヒット楽曲として認知される。今となっては「ニュートロの始まり」だったか。

ドラマ「応答せよ1997」(2012年)

文字通り、2012年から15年前を振り返る設定のドラマ。Apinkのチョン・ウンジが高校2年生役を演じ、大ヒット。当時の再現のみならず、ストーリー設定も優れ大ヒット。各賞を総なめした。ニュートロ流行のきっかけのひとつにもなった。

• 2012 韓国ドラマアウォーズ(新人賞、最優秀カップル賞)
• 2012 スタイルアイコン アウォーズ(スタイルアイコン メイン賞)
• 2012 MNET MAMA(最優秀OST賞)
• 2012年アジア太平洋スター大賞(Kドラマ大賞/ライジングスター賞、最優秀OST賞、最優秀カップル賞 )
• 2012 メロンミュージックアワー(最優秀OST賞 )

Rocket Punch ‘Ring Ring’

2021年に日本人メンバー高橋朱里も所属する「Rocket Punch」がNEWTRO楽曲を発表。新曲発表の際にはメンバーが「T-ARAのRoly-Polyを大いに勉強した」と口にしている。

ニューバランス「MR530」

筆者撮影
筆者撮影

日本での輸入元のABCマートはこんな説明がある。

「2010年に登場した、Fitness Running modelをClassic modelとして再復活
『MR530』は曲線を生かした流麗なアッパーデザイン、快適な履きごごちを提供するABZORB搭載ミッドソールを採用した人気のユニセックスデザインモデルです」

再復活とは、「90年代のものが一度2010年に復活、さらに2022年に復活」という意味だ。

製菓や酒類のパッケージ

Hite-Jinro
Lotte

“20年くらい前”が対象なワケ

ポイントはやはり「インターネット」にある。

“ネットで調べられる過去のものは、これが本格的に普及した2000年代のことくらいまで”

すると1990年の文化は、今の10代、20代にとっては「見たことのないもので新鮮」。

「20年前くらいの流行」が若者にはちょうどよい、という背景もある。10年前は単に「ダサい」。30年前は「古すぎてわからない」。

すると、20年前=「90年代中盤~後半のもの」がそのターゲットになる。

オフラインで商品を販売する業者側にもメリットがある。SNSの発達により「店頭ディスプレイの写真が撮られ、拡散される」ということが多くなった。すると「高級化」が過度に進み、差別化が難しくなっていった。そういったなか「レトロ」の雰囲気のブームはコストダウン、および差別化の効果があるのだ。

「日本文化」も”復古”の対象に!

近年はその「復古」の対象が「日本文化」にも及んでいる。

韓国の若者が「韓国でかつて紹介された日本のもの」までも「復古させたいもの」の対象にしていっているのだ。

以下のような例がある。

ポケモンパン

ギャルピース

姫カット

 

このうち「ポケモンパン」「ポケモン」のみが韓国に90年代後半に公式的に上陸して流行ったもの。

2022年上半期に「ニュートロ」として復古した。目的はパンのおまけについている「ポケモンシール」これを20代30代が「子どもの頃は好きなだけ集められなかった」として「大人買い」。品不足やそれによる「事件」が起きるほどの”シンドローム”になっている。

いっぽう後者二つは「韓国への直接的な上陸歴はない」。

それでも「日本での流行」として90年代に取り上げられたものが、韓国でも「懐かしい」の対象となっているのだ。

ギャルピースは「90年代の日本のギャル文化発祥」。これは当時、韓国のテレビでも紹介されたものだ。

2021年12月からK-POPで活躍中の「IVE」の日本人メンバー、レイがファンに向けたSNSでこれをやり、「かわいい」とブームに。その後、先輩アイドルやスポーツ選手もやるブームとなっている。

いっぽうこれについては「日本っぽすぎる」として一部メディアが批判を加える一幕もあった。

「姫カット」も70年代以来の日本の髪型として知られ、そのまま韓国語でも「ヒメカット」という言葉が使われ、「日本由来のもの」として知られている。2010年代からこの個性ある髪型で知られるメンバーがいたが、2020年代の現在、TWICEのモモ、IVEのレイらがやり「さすが日本由来の髪型」といった評価を受けている。

>韓国トレンド研究所 by 吉崎エイジーニョ

韓国トレンド研究所 by 吉崎エイジーニョ

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