韓国のテレビで繰り返される内容は涙ぐみながら訴えた内容だった。
「お互いを人間として尊重し合えば、少なくとも職場内いじめと疎外の問題はなくなるでしょう」
15日に行われたNewJeansメンバー・ハニの韓国国会召致。
環境労働委員会の国政監査に参考人として出席した。監査とは本来、国会議員が各機関に対し、「国政に関わることがちゃんと運営されていますか」と厳しく追及する場。近年は企業を対象にも行われる。HYBEは韓国内で上場企業ゆえ、その対象となった。
「メインキャスト」は証人として同じく召致されたキム・ジュヨンADOR代表と、質問に立つ韓国国会議員。両者のやりとりが続くなか、ハニは時に国会議員から発言を求められ、思いを口にした。
彼女がいったい何を語ったのか。主要な発言部分の全文を翻訳し、紹介する。
先のYouTube配信で話した内容を再度説明
アン・ホヨン環労委委員長:まず、参考人のパム・ハニ(本名)さんに質問します。参考人ではありますが、国政監査への出席は簡単な決断ではなかったと思います。出席を決意した理由は何ですか。
NewJeansハニ:アンニョンハセヨ、NewJeansのハニです。今日ここに来た理由は、NewJeansのメンバーとのライブ放送で(職場内いじめを)受けた話をしたからです。会社にはヘアメイクを受ける階があります。当時、私たちは大学祭を回っている時期で、釜山大学に行く準備をしていました。私はヘアメイクが先に終わって廊下で待っていたのですが、他の所属チームの3人くらいのメンバーと女性マネージャーが私の前を通り過ぎました。
そのときにそのチームのメンバーたちと挨拶をしたのですが、5〜10分後に彼女たちがまた出てきたんです。私はずっと同じ場所にいたのですが。でも、出てきながらそのマネージャーさんが私の目を見て、後ろについてくるメンバーたちに「見なかったふりをして無視して」と言ったんです。
私はなぜこのようなことが起きるのか理解できませんし、そもそもそのような人が働く環境でなぜそのような言葉を言ったのか理解できません。そして、この問題は1、2回ではありませんでした。だから私が今日ここに来なければ、静かに過ぎ去ってまた埋もれてしまうことを知っているので来ました。この件は今後誰にでも起こりうることです。だから他の先輩たちや後輩たち、私と同じ同期たち、今いる練習生たちもこのようなことを経験しないでほしいという思いで来ました。
アン・ホヨン:分かりました。参考人は先日11日のライブ放送で職場内いじめがあったと明かしましたが、その内容について補足して言いたいことはありますか。
ハニ:その出来事だけではなく、デビュー初期からとても地位の高い方々に多く出会いました。出会うたびに私たちの挨拶を一度も受けて(返して)くれませんでした。私は韓国に住みながら、年上の方々に礼儀正しくすべきという文化があることを理解しましたが、私たちの挨拶を受け取らなかったのは、職業階層を超えて人間として礼儀がないと思います。
それだけでなく、会社内で感じてきた雰囲気がありました。でも、これは雰囲気なので誰かに言うのは難しいし、正直、経験した人たちだけが感じることができるものです。ただの個人的な考えや感じだと思っていましたが、最近起こった出来事を見ると(そうではありませんでした)。先ほど申し上げたそのマネージャーさんとの出来事や、最近Blindというアプリで会社の方々がNewJeansを悪く言っているのを見ました。(…) そういったことを見ると、私が感じていた雰囲気は感じだけではなく、会社が私たちを嫌っているという確信が正直生まれました。
アン・ホヨン:ハニさんが感じた内容をお話しいただきました。(この日の質問に先立って行われた調査のなかで)私たち議員に寄せられた内容を少しお話しします。ハニさんが職場内いじめに関してキム・ジュヨン代表に知らせて対応を要請したところ、キム代表は「証拠がないから我慢しろ」と言ったとあります。参考人はキム・ジュヨン代表から「証拠がない」「我慢しろ」というような言葉を聞きましたか。
ハニ:「証拠がないのでどうしようもない」。このように言いながら、ずっと時間が過ぎ去ろうとしました。
アン・ホヨン:参考人は所属会社(事務所)であるADORがこのような行いをしたことをどう思いますか。しっかりと対応したと思いますか。
ハニ:その件について私が初めて話したとき、証拠はないと言われましたが、(一転して)CCTVがあると言われ、挨拶をする場面だけあると言われました。でも私が明確にその状況を説明したのに、なぜ前の挨拶をする場面だけあるのか理解できませんでした。私が直接確認すると言って、CCTVを確認しました。そうしたら本当に言われた通り、前の8秒ほどの映像だけ残っていて、50分後の場面はないと言われました。
そのときのミーティングではCCTV保護者(担当者)と警備室長、合計二人と一緒に話をしたのですが、幾度も聞きました。なぜ後ろ(の部分)がないのかと。でもミーティング中ずっとない理由が変わっていったんです。言い間違いをしていたと。
私は当時、代表が黙ってそのように話す内容を変えるという、すべてのことが不安でした。私はベトナム系オーストラリア人なので、努力しても韓国語を100%理解することはできないから、そのような重要なミーティングの内容を見逃さないように録音をして入りました。
だから嘘をついているという証拠があります。でもそれを差し置いて、(キム)ジュヨン理事に「そのマネージャーさん(無視をした)と対面を要請してもいいですか、誤解があれば解いて行くのが正しいので」(と言ったら)やってあげると言われましたが…
アン・ホヨン:キム・ジュヨン証人(ADOR現代表)に質問します。参考人が職場内いじめを知らせたことがありますか。そしてその後取った措置は何だったのか説明してください。
ADOR代表「ハニの言葉を信じるが、証拠となる資料を見つける努力を続けている」
キム・ジュヨンADOR代表:尊敬する委員様、一番最初に6月13日に保護者の方から私がADOR社内取締役の一員だった時に話を聞きました。その話を聞いて、社内取締役の一人としてアーティストを保護しなければならないという思いでCCTV確認を要請しました。
そして今おっしゃっているマネージャーさんは私たちADOR所属のマネージャーではなく、代表取締役が異なる会社に所属されているマネージャーです。それにもかかわらず、該当レーベルのアーティストとマネージャーたちにそのような事実があったかどうか確認を要請しました。
そしてその後、保管期間が満了したCCTVの復元が可能かどうかも確認するなど、私ができる限りの措置を取りました。しかし残念ながら、現在内部的に把握した関係では、お互いの主張が食い違っている状況です。私もハニさんの言葉と主張をすべて信じており、何とか答えられない心情から立証できる資料を見つけようと努力していますが、残念ながら確保はできていない状況です。
アン・ホヨン:証人(キム・ジュヨンADOR代表)がCCTV確認などの措置を取ったように見えますが、今見たところ証人が取った措置に不十分な点があると思いませんか。少し足りない点がありますか。
キム・ジュヨン:私が当時ADOR社内取締役として取れる様々な措置はすべて取ったと思いますが、ハニさんが今このような心情でこのような状況まで来たことを見ると、私がもっとよくできる部分があったのではないかと振り返るようになりました。
アン・ホヨン:ハニ参考人、所属事務所代表のキム・ジュヨン証人が言った言葉を今聞きましたね。これについて何か言いたいことはありますか。
ハニ:申し訳ありませんが、最善を尽くしたとは思いません。十分にもっとできることがあったし、そもそも私たちを守り続けると言ったのなら、守りたければ戦わなければなりません。でも戦う意志もないし、何かアクションを起こす意志もないのに、最善を尽くしたとは言えないと思います。
アン・ホヨン:これからは最善を尽くしてほしい、そういう趣旨ですか。
ハニ:これからは最善を尽くしてほしいと言えば、この問題も過ぎ去ることをよく知っているので、これからの未来を語る前にこの問題を早く解決してほしいです。
アン・ホヨン:キム・ジュヨン証人、もっと言いたいことはありますか。
キム・ジュヨン:ハニさんがおっしゃったように、私がアーティストの声にもっと耳を傾け、コミュニケーションを強化するようにします。そして現在の状況では当事者間でお互いの主張が食い違う部分があるので、何よりも事実関係を確認することが非常に重要だと思います。現在進行中の労働庁の調査に誠実に協力し、明確に事実関係を明らかにできるよう最善を尽くします。
(中略)
議員「HYBEがK-POPをしっかりリードする会社になってほしい」
アン・ホヨン:パム・ハニさん、最後に言いたいことがあれば出てきて簡単に言ってください。
ハニ:この場を設けてくださった国会議員の方々に本当に感謝します。とにかく今日この場は職場内いじめと疎外の問題についての場ですよね。私がこの経験をして多く考えたのですが、もちろんこの世界のすべての問題を法律が解決できるわけではないことは分かっていますが(涙ぐみながら)、それでもお互いを人間として尊重し合えば、少なくとも職場内いじめと疎外の問題はなくなるのではないかと思います。
この件に関心を持ってくださって本当にありがとうございます。今いる他の先輩たちも、同期も、後輩も、練習生たちもこのような心配をしなくてもいいと思います。私たちを心配してくださる方々をたくさん見ましたが、本当に感謝しています。「あなたが韓国でなぜこのような経験をしなければならないのか」という声をかけてもらいました。
この場で必ず申し上げたいのは、(私に職場いじめのような仕打ちをした人たちが)申し訳なく思う必要がないということです。私が韓国で本当に愛しい家族のように思うメンバーたちと従業員の方々に出会い、私が好きなことができるようにしてくれた国なのに、何が申し訳ないのかよく分かりません(申し訳ないと思い、恐縮するよりもしっかりコミュニケーションを取ってほしい)。
むしろ申し訳ないと思う人たちは、堂々と出てきて本当に間違ったことがなければ隠し立てせずに出てくるべきなのに、いつもこのような場を避けるからとても歯がゆいです…心配して助けてくれるという連絡だけでも本当にありがたく思います。最後に、私がここにもし再び来なければならないなら、韓国語の勉強をもっと頑張って来ます。ありがとうございます。本当にありがとうございます。お疲れさまでした。
アン・ホヨン:キム・ジュヨン代表、話を聞いてみると結局ハニさんが無視しろという言葉を聞いた、また継続的な疎外による苦痛を訴えていますが、とにかくこの問題の真相をもっと明らかにして、対立が大きくなる契機ではなく協力が強化される契機になればいいと思います。
HYBEがK-POPをしっかりリードしていく企業になってほしいです。代表としてもっと意志を持って努力してほしいと思います。働く人誰もが人権を尊重されて働けるような雰囲気を作ってください。
キム・ジュヨン:はい、委員長。深く心に刻みます。
4月22日に始まった一連の「HYBE内紛騒動」。今後のヤマはそもそもHYBEが警察側に告発した「ミン・ヒジン氏による背任」の捜査結果だ。現地の弁護士業界メディア「法律新聞」が「近々発表」と報じている。
今回のハニの訴えは「背任があったかどうか」について直接関わるものではないが、韓国内でも大きな注目が集まった。当日の韓国国会の内外では、取材規制がかけられ、内部では彼女を一目見ようと大勢の国会議員や関係者が押し寄せたという。韓国最大のポータルサイト「NAVER」ではメディア別のデイリーアクセスランキングにおいて、実に11メディアでベスト5入りした。