「21年なら生え抜きユースじゃん」
韓国最大級のオンラインコミュニティ「FM KOREA」で、7月14日に最も推された一言だ。いいね!に近い「推薦」の数は918だった。
「生え抜きユース」とは、サッカー用語だ。ユースチームで育ち、プロに上がっても同じクラブで活躍した選手を指す。TWICEのジヒョと所属事務所「JYPエンターテインメント」の21年間を、そのサッカー選手に重ねた表現だった。
7月14日に韓国で報道が始まった「TWICEメンバー移籍説」。メンバー9人中、ジョンヨン、ジヒョ、ツウィ、チェヨンの「独立説」が囁かれている。いずれに「TWICEとしての活動を継続しつつ、個人が独立する」という見立てをしつつ、論じられているものだ。
TWICEの契約報道は韓国ではどう見られているのか。第一弾として記したメディアの報道に続き、ここでは「大手ネット掲示板での反応」を。厳しい言葉も飛び交っているが、これはある意味韓国の「本音」でもある。
前出の「FM KOREA」のスレッドは閲覧50万6711、コメント687。女性中心の大型コミュニティ「theqoo」も閲覧7万5254、コメント324に達した。その数字が関心の高さを物語っている。
TWICE再契約報道──韓国ではどう伝えられているのか? 「BLACK PINKモデル」を冷静に見守る
「お疲れさま」と「そりゃ出ていくよ」
同じニュースでも、日本と韓国での読み方が違う。
日本の「ヤフー」のコメント欄で最も共感を集めたのはこの声だった。
「もう十分すぎるほど事務所に恩返しはしているので、やりたいことは自由にやれた方が良いし、ファンも解散しないでいてくれた方が嬉しいよ」(共感202)
韓国のコミュニティは、もう少し辛口だ。所属事務所の売り出し方、TWICEへの仕事量。不満はそこに向かう。同じ事実が、日本では「お疲れさま」、韓国では「そりゃ出ていくよ」というトーンになっている。
その差はどこから来るのか。
TWICEは7月10日から12日まで、ソウルのKSPO DOMEで6度目のワールドツアー「THIS IS FOR」のフィナーレ公演を開いた。2025年7月の仁川(インチョン)から約1年、44地域81公演。北米で55万人、日本で64万人を動員した。
移籍説が噴き出したのはその2日後だった。
韓国大手掲示板「FM KOREA」のユーザーたちは報道のタイミングの”絶妙さ”を見逃さなかった。
「だから最後にワールドツアーを詰め込んだんだと思ってた」(推薦688)
「ツアーが終わって1日しか経ってないのに」
「コンサートで急に泣き出すのは、もう公式発表みたいなもんだな」
契約の節目の前に大型ツアーを固める。韓国のファンはそんな視点で見ていた。

同じ「休みたい」が違って聞こえる
ジヒョは7月10日、米経済誌「フォーブス」のインタビューでこう語った。
「この11年間、TWICEとしてもソロアーティストとしても、私たちはほとんど休みがなかった」
「今年の残りはリラックスして、少し休みたい。この休みは、今後もっと良い仕事をするために本当に必要なもの」
この発言、日本でも報じられている。「スポーツソウル日本版」は7月13日の記事を「それは寂しいニュースではなく、むしろ健全なニュースなのかもしれない」と締めた。
韓国のコミュニティは、彼女の同じ発言からTWICEのワークバランスの方に目を向けた。
「TWICEは異常なほど詰め込んで走らされてた。毎回それで誰かが体を壊して、少し休んで、また合流して」(推薦461)
「メンバーが神経治療する時間もなくて抜歯するレベルなら、さすがにひどいと思う」(推薦352)
2026年3月にはダヒョンの足首骨折、チェヨンの腰の不調があった。事実は日本でも既報だ。日本は「ゆっくり休んで」と読み、韓国は「そこまでやらせたなら独立も当然」と読む。同じニュースでも日韓では読み方が違うのだ。
「ソロは大丈夫?」論争と53万枚
その他、韓国のコミュニティで一番盛り上がっているのは、ソロの成算だ。
「現実的にはミサモの自国ソロか、ツウィの自国ソロ以外は厳しいだろ」
こんな辛口の見立てが流れると、数字で返す書き込みが入る。
「初動53万枚売ったのに売れなかったって?」
ジヒョのミニ1集「ZONE」は2023年8月18日発売。韓国の音盤集計サイト「ハンターチャート」基準の初動53万4565枚。K-POP女性ソロのミニアルバム初動最多記録で、女性ソロ初のハーフミリオンセラーだ。
ただしスレッド内では「音楽ストリーミング『Spotify』の1位は総合チャートではなくデビュー曲対象のチャート」という訂正も入っている。数字の出どころまで検証し合うのが、韓国のコミュニティの流儀だ。
独立と鳴った場合の個人事務所への心配もあれば、楽観視する向きもある。
「1人事務所のほうがTWICEの活動もやりやすいだろ。きっとスタッフもこれまで呼吸を合わせてきた人たちを連れて出るんだから」
「危機ではなく充満の証拠」
前編の「メディア記事編」でも記したように、韓国の視点は「解散か継続か」ではない。彼女たちが個人事務所に移った場合に、TWICEとメンバーたちがどうなっていくか、という点だ。
勤続21年。10年の練習生生活を経て2015年にデビューし、2025年にはJYP入社20周年の記念コンテンツまで作られた。その人が、ワールドツアーを終えた2日後に会社を出る方向で調整に入った。
「生え抜きユース」「永久欠番を掲げよう」「一般の会社員でも20年勤めたら勤続表彰が出る」
韓国のコミュニティのこれらの書き込みは、労いだ。解散の心配より先に、21年をどう労うか、話をしているのだ。