ITZY『THAT’S A NO NO』は何を歌っているのかーー6年前の”無名曲”がバズったワケ

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ITZYの楽曲『THAT’S A NO NO』がバズっている。もはや数ヶ月この状況が続いているのだ。

元々の楽曲リリースは2020年3月だった。アルバム『IT’z ME』の収録曲のひとつとして。つまり6年前の無名曲だ。これをITZY本人たちが2月にソウルで行われた「ITZY 3RD WORLD TOUR <TUNNEL VISION>」で披露し、所属事務所が動画を公式YouTubeチャンネルにアップした。

すると「パフォーマンスが圧巻」「これこそITZYの真骨頂」といった評判が評判を呼び、シンドロームを巻き起こすことになった。

公式フル動画のYouTube再生回数が1300万回超え。振り付け練習動画は計400万回超え。韓国の音源配信サイト「Melon」でTOP100再ランクイン。TWICEモモ・ジヒョ・NEXZトモヤのTikTokチャレンジ参加――。

果たしてどんな内容を歌っているのか? その正体は?

筆者が分析するに「17歳の女の子が踊り続けるために心のなかで叫び続ける歌」。それはナイーブなものではなく、余裕がある。「自己主張のかたまりみたいな10代の内面を、5人で笑いながら投げつけてくる」といった雰囲気だ。

一方、よく調べていくと作詞作曲の顔ぶれがめちゃスゴい。さらに韓国では、6年越しに流行った理由について「時代のほうが、ようやくこの曲に追いついた」という分析まで出てきている。

発売当時は「その他大勢」だった

実はこの曲、作詞・作曲陣がかなりスゴい。クレジットに並ぶのは「シム・ウンジ」「KASS」「Ariowa Irosogie」の3名。シム・ウンジはTWICE『KNOCK KNOCK』『YES or YES』『I CAN’T STOP ME』『SCIENTIST』、NiziU『Take a picture』などを手掛けたヒットメーカー。KASSにはBTS『DNA』とNMIXX『Blue Valentine』が並ぶ。

ただ、発売当時の『THAT’S A NO NO』の扱いは本当に小さいものだった。タイトル曲『WANNABE』こそ「他人の基準に縛られず、自分だけの色を見せていく『one & only ME』のメッセージ」を伝える曲として大々的に打ち出されていたが、『THAT’S A NO NO』はJYPエンタテインメント公式の解説でも他の収録曲と並べられ、「ムーンバートンのリズムに中毒性の強いメロディが調和したラテン調の楽曲。自分に向けられた否定的な視線にウィットに富んだ回答を投げかける」と簡素に紹介されるのみだった。

ユナが「17歳の自分は」と歌い始める

歌詞は冒頭から「10代の自分が語る」という設定で始まる。

テセンイ クレ ナン フンイノムチョ ヨルイルゴプサリンデ ムォ――生まれつきそうなの。私はノリが溢れてる。17歳だけど、なに?

最年少メンバーのユナがこれを歌う。2003年12月9日生まれの彼女は、2020年3月9日時点では「16歳」。なぜ年を多く言うのかは、ちょっとした「事情」がある。これは後述する。

ともあれ冒頭で17歳の主人公は「私は私よ。自分以外の何者でもない」と主張する。続けて「遊ぶのに忙しいの」「たまった私の返信」「心配は度を越えてる」と畳みかける。誰かの「もっと真面目にやれ」「ちゃんと返事しろ」「心配だぞ」を、真正面から受け流していく構図だ。

【考察】ITZY『THAT’S A NO NO』──当時16歳のユナは なぜ「17歳」と歌ったのか

「タッタッタッ」「バンバン」の深~い意味

この歌で「何を歌ってるのか」が気にかかるのは、サビの後半パートではないか。タイトルの「THAT’S A NO NO」の前に「タッタッタッ」「バンバン」と歌っている。

このパートには当然のごとくこの曲の世界観が最も現れている。

イェジが歌う

Hit that thang like a drum ta ta(タッタッタッとドラムを叩くように)That Thang(それをぶっ叩け)

That Thangはタイトルの「THAT」、つまり「自分に向けられた否定的な視線」のこと。「Rum pa pa pum pa pa」で鼓動を高めて、何をするのか。

パムセウォ パムセウォ チュムル チュォ(夜通し踊るの)

――踊るのだ。

ただし、もし「夜通し踊る場所」がソウル・ホンデのクラブなら、韓国の法では「満19歳以下は立入禁止」。17歳は入れない。筆者はこの設定の背景に、近年の韓国トレンドキーワード「離脱(イタル)」――日常を縛るものから飛び出してヒーリングを味わう感覚――があると見る。『THAT’S A NO NO』は現実では絶対ダメな「17歳だけど夜通しクラブで踊る」を、歌のなかでだけやり遂げる。そう読むのはやりすぎか。

歌詞では、そこにリアが続いていく。

Blow that thang like a brass bam bam Rum pa pa pum pa pa pum pa pa 

「Hit」のドラムから、「Blow」のブラスへ。打楽器に対して、今度は管楽器を持ってきている。歌詞の構造そのものが、まるでバンドのように「離脱」を楽しむ17歳の内面を盛り上げていくのだ。更に歌詞はこの曲の核心部分へと続いていく。

ネ チュミ モムチュジ アントロク(私の踊りが止まらないように) Say that’s a no no, that’s a no no

ここで「THAT’S A NO NO」の意味がよりはっきりと現れる。「外から飛んでくる否定の視線を断る」のだが、なんで断っているのか。「私のダンスを止めないため」だ。つまり「THAT’S A NO NO」は、否定的な視線に対する対抗でもあり、みずから踊り続けるための「自衛の呪文」のようなものでもあるのだ。

内面の叫びでありながら、めちゃくちゃ力強い。余裕もある。ダンスのことを歌っているだけに、その力強いダンスが意味をなしてくる。だからこそ聞き手にも伝わってくる――。そういったことを思う。

「時代がようやく追いついた」6年越しの正体

じゃあなんで、当時はまったく話題にもならず、いま改めてヒットしているのか。もちろん当時はプロモーションもなく、ダンスを含めたパフォーマンスが披露されることもなかった。

メンバーは3月19日に出演した「Mカウントダウン」で同曲の魅力をこう話している。

「やはり中毒性溢れるムーンバートンのリズムと、自信に満ち溢れた歌詞、そしてITZYならではのパワフルなパフォーマンスが加わってシナジーが弾けた、ということだと思います」

そこに、もう一つの分析がある。

「ショートフォーム(リール動画やTikTok)で、サビ周辺の数秒を切り取って消費する時代に変わった2026年、サビ周りの振り付け設定がいまの視聴環境とぴたりと噛み合った」

YouTubeでこう披露したのが「ルダ」。韓国でキャリア20年を誇るダンストレーナーだ。

「メンバーが小指を合わせる動作は、一見シンプルでも、体力消耗を最小化しつつ、視覚的な『残像』だけはしっかり残す、いわゆる『コスパ』最高の選択。激しいパフォーマンスで知られるITZYだからこそ、この緩急の付け方が効くんです。そしてサビ本体ではアフロ系のリズム感を一気に立てる。動きそのものは難しくない。だが手の固定力、正確性で圧倒的なクオリティ差を見せてくるんです」

ITZYの『THAT’S A NO NO』。知れば知るほどスゴい楽曲なのだった。

執筆=吉崎エイジーニョ 初出=Yahoo! ニュースエキスパート 

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Mottoもめっちゃ楽しみ! ITZY大好き❤
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