LE SSERAFIMが5月23日に公式MVを発表した楽曲「イブ、プシケ、青髭の妻」が異例の大ヒットを続けている。
6月9日に発表された韓国最大の音源ダウンロードサイト「メロン」でダウンロード数のランキング6位に入った。異例、というのはこの曲がアルバムを売るために全面に押し出すタイトル曲(リードトラック)ではないということ。5月1日に発表されたアルバム「UNFORGIVEN」のタイトル曲は同名の「UNFORGIVEN」。彼女たちの活動期間の本来的な意味はこのアルバム全体を聞いてもらうためのものだった。
いっぽうこの22日後にMVがリリースされた「イブ、プシケ、青髭の妻」もアルバム「UNFORGIVEN」に収録されたものだ。これを韓国では「後続曲(フソッコク)」という。一般的な定義は「アルバムプロモーション活動期間の最後に”別の曲も聴いてくださいね””改めてアルバムよろしく”と短いサイクルにて音楽番組で披露すること」。今回の「イブ~」も実のところ音楽番組で見られたのは3度程度だ。
それでも他グループのタイトル曲と並んで多くダウンロードされるとうこと自体が驚異的。一風変わった曲名「イヴ、プシケ、そして青い髭の妻 」はそれぞれ、聖書、ギリシャ神話、フランスのおとぎ話に出てくる「タブーを破った存在」だ。名詞を並列したものが楽曲名になっている。
こんなにスゴい曲が収録されているということは…このアルバム「UNFORGIVEN」全体のコンセプトに目が行かざるを得ない。結局のところ「後続曲を知る」というのはそういうことなのだ。
いったい彼女たちは何を伝えたかったのか。
事務所が公式発表しているアルバム解説の文章を全訳して紹介する。
LE SSERAFIM(ル・セラフィム)が5月1日に初のフルアルバム『UNFORGIVEN』をリリース
LE SSERAFIMは2022年に「FEARLESS」と「ANTIFRAGILE」という2枚のミニアルバムを通じて、彼女らだけが伝えられるストーリーを描いた。彼女らのデビュー1年である今回のフルアルバム「UNFORGIVEN」は、他人の評価に関係なく、LE SSERAFIM独自の道を切り拓くという決意をテーマにしている。他人が定めた基準に縛られず、5人のメンバーがチームが望む方向に進むと歌っているのだ。
「UNFORGIVEN」には合計13曲が収録されている。これまでにリリースされたミニアルバムの収録曲を除いて、新曲7曲が収録されている。これら新曲はタイトル曲のメッセージと有機的に繋がり、聴く楽しみをより大きく提供する。また、アメリカの有名なギタリストでプロデューサーでもあるナイル・ロジャースなどの「ワールドクラス」のミュージシャンたちが楽曲制作に参加し、LE SSERAFIMの高まったステイタスを証明した。
LE SSERAFIMへの熱い関心は、アルバムの予約販売数量でも表れている。このアルバムは予約販売7日間で103万枚を突破し、前作の「ANTIFRAGILE」の合計予約販売数量62万枚を超える人気を誇示した。前作の「ANTIFRAGILE」は今年3月に100万枚以上の販売を記録し、2作連続のミリオンセラーの誕生が期待されている。
このアルバムは、世界的なカラーリサーチ機関Pantoneが発表した今年のカラーである「Viva Magenta(ビバ・マゼンタ)」を代表色として設定している。ビバ・マゼンタは、大胆で包容力のある赤系の色で、希少な天然染料であるコチニールから着想を得ている。コチニールは独特の赤色のため、自然界で生き残ることが難しいという弱点を持っているが、最後まで耐え抜いて貴重な存在となる点でLE SSERAFIMとタイトル曲「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」と共通している。
LE SSERAFIMはこのタイトル曲で「私たちの道なき道をともに進もう 私の許されない少女たち」と歌っている。他人の視線に気を使わず、自分たちが正しいと思う道を進むと言っている。そして、それを楽しみながら。
たとえ他人から後ろ指を指されても構わない。自らを咎める人々に謝罪は要求できないし、許しを求める必要もない。他人が引いた線を越えても、力を込めて厳しい表情をする理由もない。心の確信さえあれば、偏見から生まれた言葉や視線などは軽く笑い飛ばせる。そして、LE SSERAFIMが進む新しい道には、同じ考えを持ったメンバーたちが常に一緒にいるだろう。一緒にいることで、より遠くに進めるからだ。
「一人なら彷徨い歩いているということ、一緒に行けば冒険」
私たちのすべての行動と選択には、評価が付随するものだ。それによって時には足を引っ張られることもあるだろう。しかし、評価の基準が何なのか、その基準を作った人が誰であるのかはわからない。ただ「これまで通りだから」「他の人がそう言うから」というだけでは基準がぼやけている。LE SSERAFIMは、よく知らない人たちがつけたスコアシートには興味がない。代わりに、他の人が何を言おうと、自分たちが正しいと思う道を進むと言っている。繰り返すが、それを楽しみながら、だ。
この選択によって他人の非難を受けることがあっても構わない。そのような人々に対して、謝罪を求める必要も、許しを求める必要もない。他の人が引いた線を越えるからといって、一生懸命力を注ぎ、強い表情をする理由もない。ただし、心の確信があれば、偏見に基づいた言葉や視線などは軽く笑い飛ばせる。そして、LE SSERAFIMが進む新しい道には、同じ考えを持ったメンバーたちが常に一緒にいるだろう。一緒にいることで、より遠くに進むことができるからだ。
望んだことなどない。許されることなど…ともに進もう
フルアルバムの新曲たちはひとつのメッセージで密接に繋がっている。各トラックのテーマに沿って手を取り合い、境界を越えて冒険に出る少女たちが描かれている。
7曲目の「Burn the Bridge」は、LE SSERAFIMの新たな旅の始まりを告げる曲であり、選択に対する確信と進む決意を物語っている。
8曲目の「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」というタイトル曲では、LE SSERAFIMは「一緒に行こう、私の許されない少女たち」と歌っている。彼女らはこれまで気を遣っていたことから解放され、自分たちの道を進むと宣言している。
9曲目の「No-Return (Into the unknown)」は、冒険のワクワク感に焦点を当てており、「イヴ、プシュケ、そして青い髭の妻」は、禁断を破ることで次のステージに進める、という考えを伝えている。
「FEARNOT(Between you, me and the lamppost)」は、LE SSERAFIMの最初のファンソングであり、仲間との連帯感や結束が感じられる。特に、この曲では5人全員が作詞に参加し、ホン・ユンジンがプロデューサーとして名前を連ねるなど、LE SSERAFIMの音楽的な真正性が際立つトラックだ。
12曲目の「Flash Forward」は、結末が明らかであってもためらうことなく挑戦し、没頭する意志を表現している。
最後のトラック「Fire in the belly」には、心に炎を燃やし、冒険の海に出ようというメッセージが込められている。この曲は、フルアルバムのクライマックスを飾ると同時に、本格的な冒険の始まりを告げる役割を果たしている。
編集者注
このアルバムのなかの10曲目「イヴ、プシケ、そして青い髭の妻 」については別途こういった解説が加えられている。
”私は願っている。禁じられていることこそを”(I wish for what is forbidden to me)というテーマを持つトラック。ジャージー・クラブ(Jersey Club)スタイルのリズムを使って、”禁忌”というやや重いテーマを魅力的に表現した。LE SSERAFIMは禁忌を破り、新しい世界に進むことに成長の意味を与えた。前作『ANTIFRAGILE』のプロモーション映像に挿入された楽曲”I’m a mess”をの一部を巧みに配置して、馴染みがありつつ、新鮮な感覚を表現している。
高まったステータス!「ワールドクラス」のミュージシャン参加
LE SSERAFIMは、今回、世界的な著名ミュージシャンとのコラボレーションを通じて、完成度の高い音楽を作り上げた。
まず最初に、アメリカの伝説的なギタリストでありプロデューサーでもあるナイル・ロジャースがフィーチャリングアーティストとして名を連ねている。彼はデヴィッド・ボウイ(David Bowie)、マドンナ(Madonna)、ビヨンセ(Beyonce)など、当時最高のミュージシャンたちと共演し、ダフト・パンク(Daft Punk)のメガヒット曲「Get Lucky (Feat. Pharrell Williams, Nile Rodgers)」の制作にも携わった。ナイル・ロジャースがLE SSERAFIMのフルアルバムのタイトル曲「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」で直接ギターを演奏したことからも、LE SSERAFIMのグローバルな影響力が伺える。
さらに、防弾少年団(BTS)の「Run BTS!」を制作したフェリ・フェラーロ(Feli Ferraro)や、Jay-Zが設立したレーベルロック・ネイション(Roc Nation)所属のアーティストであるベンジャミン(Benjmn)もタイトル曲のクレジットに名を連ねている。また、韓国を代表する実力派ミュージシャンであるハリム(Hareem)やチョクジェ(Jukjae)も今回のフルアルバムに参加し、LE SSERAFIMに力を与えた。
タイトル曲‘UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)’
LE SSERAFIMはデビューアルバムから常に自分らしさ、欲望、旅路など、自分たちの考えと声を堂々と表現してきた。今回の初フルアルバムのタイトル曲では、一般の評価や偏見に立ち向かう彼女らのクールな姿勢が最もよく表現されている。
さらに、アメリカ西部の映画「The Good, the Bad and the Ugly(続続・続・続)」のメインテーマのOSTをサンプリングしたトラックも耳を引く。OSTのサンプリングは、プロデューサーのBang Si-hyuk(パン・シヒョク)のアイデアから始まり、曲の使用には映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ(Maestro Ennio)の家族と直接協議を行った。
LE SSERAFIMの楽曲を聴いたエンニオ・モリコーネの息子であるジョヴァンニ・モリコーネ(Giovanni Morricone)は、喜んでサンプリングの許可を与えた。結果、LE SSERAFIMが新たな道を切り拓くという曲のメッセージがより効果的に表現された。さらに、ナイル・ロジャースが演奏したパンクリズムのギターが加わり、ハイレベルな楽曲が完成した。
ステージ上では、LE SSERAFIMはいつもよりも明るく、音楽そのものを楽しむ雰囲気を醸し出している。彼女らは以前の活動を通じて「ガールグループの最強パフォーマー」としての地位を確立し、ダンスはもちろんのこと、可愛らしさやいたずらっ子のような表情の演技も披露している。彼女らのパフォーマンスを見ていると、その集団に参加して一緒に踊り、冒険に出かけたくなる衝動を感じる。また、ミニ2集のタイトル曲「ANTIFRAGILE」のポイント振り付けを活用したダンスを通じて、チームのアイデンティティを再確認し、楽曲間の連続性を探求する楽しさも提供している。
バンコクで撮影されたミュージックビデオは、異国情緒に満ちた風景やヘリコプターや白馬、クラシックカーなど多様な視覚的要素で目を引く。LE SSERAFIMはカウガールハットをかぶり、高級レストランのテーブルに座っている姿から始まり、他人の視線に気を使わずにテーブルの上で情熱的なダンスを披露する。街頭でヘッドライトの明かりを使って踊るシーンでは、喜びと自由が最高潮に達し、ビデオを見る人々もLE SSERAFIMの一員になり、”一緒になって遊びたい”という衝動を感じるだろう。
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アルバム全体のテーマはこうだ。
「他人の評価に関係なく、LE SSERAFIM独自の道を切り拓くという決意。彼女らは他人が定めた基準に縛られず、5人のメンバーがチームが望む方向に進む、と歌っている」
このなかで10曲目の「イヴ、プシケ、そして青い髭の妻 」は「禁じられたことすら打ち破っていこう」という強い意思を示す、という位置づけというところか。