【韓国トレンドキーワード】 K-POP用語「ショーケース」って何? MISAMOでも話題に! 

K-POPでのショーケース。
由来はもちろん英語で「陳列棚」や「新製品を紹介する場」「ある物を試験する場所」「新人や新製品などを紹介する」「特別放送を放送する」といった意味だ。
自動車業界やミュージカル業界でも使われ、前者では「発売直前にメディアに新車種を披露する場」、後者は「制作側がショートバージョンを披露し、出資者は”可能性があるかどうか”見極める場」という意味合いがある。
2015年のKARAのショーケース時。筆者撮影
K-POPで使う際に強いて訳すのなら「リリース直前のメディアへの制作発表」だ。本来的な意味は。
ショーケースは多くの場合、次のような流れで行われる。
・音源公開日に行われる。
・音源公開時間は当日の18時から19時に定める。
・1度目のショーケースは「当日の午後、音源開始前のメディア対象のもの」。
・2度目は「当日の音源公開直後」のファン対象のもの。これすごく厳密に言うと「ショーケース」ではないが、K-POP業界では「ファン・ショーケース」と呼ばれ、恒例イベントとして開催されている。

当日の現場はじつは「勝負」の場

筆者自身、現地で10回以上この取材を経験したことがあり、会場で挙手して韓国語で質問したこともある。日本からの取材者としてはまあまあの回数だと思う。
このメディア向けのショーケースの現場、「勝負」といった面が非常に強い。
まず、何せ開催日の情報が掴みにくい。気づいたら取材申請締切後ということもざら。そもそも通常のプレスリリースとは別に開催案内がされることもあり、申し込むこと自体が韓国内でのコネクションが必要な面もある。
現場に着いても日本からの取材者にはなかなかアウエーな状況が待っている。早く会場に着いても、写真撮影のポジショニングで端の席を割り当てられることが多い…韓国での日常からの「出入り記者」でない以上、仕方のないことだ。またK-POPの所属事務所はやはり「自国のファンやメディアをまず大切にする」という考え方があり、これは尊重するよりほかない。
事務所側にとってもその日は「勝負」だ。
日頃から丹念にアーティストのイメージ管理を行うなか、この日は「ステージ上の写真はメディアが使い放題」。少々気に入らない写真がメディアに載ることもある。
2015年のRAINBOWのショーケース。筆者撮影。こういった写真も「撮り放題」
また記者会見では事前質問の受付がない。よって「別グループと自分たちとの比較」など、個別のインタビューでは絶対に通らないようなハプニング的な質問が飛び出す時もあるからだ。筆者が取材した「ロケットパンチ」の2019年のショーケースではメンバーに対して「日韓関係」の質問が集中する一幕もあった。
さらにアーティストにとってはプレッシャーもかかる場だ。何せ「新曲の初生公開」は、まったく新しい曲を、黙々とパソコンやカメラに向かうメディア相手に行うのだ。ファンのショーケースとは違い、リアクションの少ない中でパフォーマンスとなる。そして現場の記者たちは少しでも早く記事を作成し、会社側に送ることに集中しているのだ。実はショーケースを行うアーティストの多くが「世の中への新曲初披露」をパラパラっと拍手が起きる状況で行っている。これもまたK-POPの知られざる真実(!?)だ。
2018年LOVELYZのメディアショーケースの現場。結構な「勝負」の場だ
こういった「勝負」も、すべてはファンのため。
これを知るのがおよそ18時から19時に始まるファンショーケースが終わったあとだ。
同じ日のLOVELYZのファンショーケース 筆者撮影
ちょうど家路に着くファンが余韻に浸りたい時に… 午後のメディア対象のショーケースの記事が大量にアップされている状態になっている。ファンは各自スマホでこれに没頭する。これ、筆者自身K-POPのシステムの中で「ホントに良く出来ているな」と感じる部分のひとつだ。
この強烈インパクトをもって、その直後から音楽番組での活動に入っていくのだ。いわゆる「カムバ」。カムバックのことだ。
(了)
=文・編集長吉崎エイジーニョ