4月に入りいよいよ春も本番。
ここでは「春に聴きたいK-POPガールズグループ名曲」の紹介を。バーンと弾ける楽曲、なんかテンションの上がる楽曲、兎にも角にも春の名曲にしてしまえという曲、目でも耳でも癒やされる歌――。あらかじめ言っときますが、めちゃくちゃ偏っています。本文2000字弱でLet’s Go。
■GFRIEND ‘Glass Bead’
今となれば「LE SSERAFIMの先輩」。現在はHYBEの子会社レーベルとなった、ソースミュージックが生み出した「GFRIEND」の名曲。2015年1月15日にデビュー曲として発表された。
なんといってもサビでもある冒頭から言いたいことを全部言っている点が分かりやすくて、素晴らしい。
透明なガラス玉のように見えるけど そんなに簡単に壊れないわ。
(トゥミョンハン ユリクスルチョロム ポイジマン クロッケ シプケケジジン アヌルコヤ)
ピュアな10代は、一見何者でもないように見える。けど簡単にはくじけない。春の新しいスタートは不安でもあるが、前に進む。そういった感情をストレートに伝えてくる。
今や天下のHYBEの一員となったソースミュージック、当時はここから生まれたGFRIENDは「中小系事務所の星」と呼ばれていた。確かに資金は潤沢ではなかったようで、本当にこの「そろいのトレーナー」のような衣装で音楽番組にも出演していた。
ではこのグループと事務所、何がスゴかったのかというと「徹底したコンセプト設定」。この「Glass Bead」はデビュー当時からのコンセプト「学校3部作」の最初の作品だった。春(新学期)、初夏、冬(卒業時)という3つのシーズンにピッタリ当てはめ、楽曲を発表した。
そしてグループはこの楽曲から1年後に卒業時の告白をテーマにした「Rough」で見事に大ブレイクを果たすのだった。その後多様なコンセプトで楽曲を発表し、2021年5月18日に全メンバーが所属事務所との契約期間満了をもって活動を停止すると発表した。
■ LOVELYZ ‘Candy Jelly Love’
2014年から21年まで活動したLOVELYZが2014年11月に発表したデビュー曲。キャンディとジェリー(日本語でいうとグミ)のような甘い少女の片思いを表現した。
作曲を担当した歌手であり音楽プロデューサーのユン・サン氏も楽曲の公式説明でこう口にしている。
「音楽というより、まるで甘いスイーツを作るような気持ちでサウンドの一つ一つを繊細に選択していった」
確かに作り込まれたサウンドが「なんかテンションの上がる」楽曲。春にピッタリとハマる。
後に同氏は LOVELYZについて「最も完成度の高いシンセポップを表現できる対象」と評している。ちなみにこの「Candy Jelly Love」が収録されたアルバムのタイトルは「Girls’ Invasion(女の子たちの侵攻)」だった。時はガルクラのアイコン・BLACKPINK出現前の2014年。「侵攻」なんてタイトルがついていても、なんともかわいらしかった。
■KARA ‘Date(My Boy)’
2011年に発表された’STEP’の後続曲。活動期間の最初の週に韓国音楽番組で披露された。制作側の公式発表によると「初デートに出かける朝のワクワクを歌う」楽曲。爽快にキャピキャピ感が表現されている。
Aメロ・Bメロでは「浮かれすぎて好きな気持ちがバレちゃいけない」「先に一歩近づこうか」とためらう心理描写が続く。この曲がスゴイのは、その後のサビ部分でのドッカーンとやってくる「弾け感」の表現法だ。「めちゃめちゃわかりやすい単語を用いて」これをやる。さらに「体言止め」が心地よい。
チェル イェップン オディプコ(いちばん可愛い服を来て)
モリオーリゴ(髪をアップにして)
サンクーマン アチム(爽やかな朝)
およそこういった内容は”クサく”なってしまいがちだが、この楽曲は見事にこの後に「回復」を見せる。さらに続くサビパートで「体言止め連発」を見せるのだ。これがパンパンとリズミカルに、それでいて心地よく伝わってくる。
ヒャングッタンヒャンギ(香ばしい香り)
サンニャンハンマルトゥ(優しい言葉)
ジェントゥルハンヘンドン(ジェントルな振る舞い)
イモドゥ MYBOY(これすべてMYBOY)
実はこの曲……2011年9月上旬発表の楽曲。はっきり言って「秋の歌」だが、完全に春に聴いてもしっくりくる。何より「勝手に解釈して楽しむ」ことは、韓国にはない日本のK-POPファンの特権。細かいことは気にせずに春にも楽しもう。とにかくテンションが上がるので。
チョン・ウンジ(Apink) ’Hopefully sky’
アイドルにしてこの世界観を表現できるのは圧倒的歌唱力を誇るチョン・ウンジだけでは?
2016年4月にリリースされたこの楽曲、なんと「春の季節に幼き日の郷里の風景を思い出す」「父に対する感謝を伝える」というテーマ。
これを伸びやかな歌声と柔和な表情で表現しきった。この楽曲のプロモーションの際、本人が「父親が事業で借金を抱えていた」「自分も協力して全額返せた日がとても嬉しかった」とのエピソードも披露し、楽曲の説得力をぐっと高めた。
公式MVに映し出されるのは彼女の郷里、釜山の風景。耳でも目でも癒やされる楽曲に仕上がっている。