受験シーズンから春にかけて日本では多くなる「大学人気ランキングモノ」の記事。偏差値、就職先、学生の人気、一般的なイメージ、はたまた超名門大学にどの高校から何人合格したかのランキング――。
では韓国ではどうなっている? というのが今回の趣旨だ。
加熱する受験勉強が伝えられるこの国。さぞかし厳しいランク付けがあると思いきや……。
まずは偏差値が存在しない。そりゃそうだ。日本の偏差値とは、あくまで日本の私企業(各予備校)が定めた数値。これに大学のランクが分けられる。それぞれの大学が教育目標を持っているというのに、数値で、かつグループ分けするとはなんぞや。
とはいえ多数の大学が存在すれば、どうしたって人気不人気が出るもの。韓国にも以下のようなグループ分けが存在する。
「SKY」…国立のソウル大、私立の高麗(コリョ)大、延世(ヨンセ)大の頭文字を取った「御三家」。
「IN SEOUL」…キャンパスがソウルにある大学。認知度が高く、人気も高い。
この中でなんとなく「最上位」「上位」「中位」といったランク付けがあるが、日本の「MARCH」「日東駒専」のように認知度の高いものではない。
一方、偏差値の代わりに大学のランクは「海外機関やメディアが定めたランキング」で定められることが多い。また韓国内には「大学評判ランキング」なるものがある。韓国企業評判研究所が毎月発表しているデータだ。インターネット上のメディアや掲示板での評価、卒業生・現役生の大学への参与度やコミュニケーションを同所が「肯定的・否定的」に分けて指数化した。いわゆるビッグデータを活用した統計だ。偏差値とは違う基準だが、人気度・認知度を知るデータには違いない。
4月に発表されたこのランキングを、韓国内の複数メディアが報じた。本稿では各大学の著名な卒業生とともに紹介する。
やはり上位は「SKY」が席巻
JY PARK(JYP ENTERTAINMENT代表)
各界にかなり多くの人材を輩出しており、芸能人も多い。いっぽうで「日本にまで知られる存在」は不思議と存在せず。芸術系の学部がない点もその理由か。
イ・スマン(元SM ENTERTAINMENT代表)
国立の最難関校、ソウル大が1位ではない。日本の慶応にも比せられる延世大が1位、早稲田とも言われる高麗が2位となっている。ちなみに毎月発表されるこのランキング、3月分ではソウル大が1位だった。
とはいえ、絶対的地位ではないという面もある。筆者自身、延世大在籍中の女性からこんな話を聞いたことがある。
「ソウル大にも行けたけど、女性が行くと硬いイメージがつきそうだったから延世にした」
韓国では国立・私立大受験に関係なく、日本の大学入学共通テストに近い「大学修学能力試験(通称「スヌン」)」を受け、その点数で出願先を決める(近頃は推薦入試も増えているが)。日本ほどに「国立は共通テスト」といったイメージが強くない(つまりは受験対策が大きく変わらない)だけに「往来」も可能といったところか。
5位 成均館(ソンギュングァン)大
ソン・ジュンギ(「太陽の末裔」「ヴィンチェンツォ」ほか)
7位 釜山(プサン)大
9位 慶北(キョンブク)大
日本人留学生も多く学ぶ梨花(イファ)女大、韓国外大が入っていないが、これは「オンライン上のアクティビティ」がランキングに反映された結果か。
これらの大学は「IN SEOUL」のうち「2番手グループ」と見られている。ちなみに最上位に西江(ソガン)大、成均館大(ソンギュングァン)大、漢陽(ハニャン)大などが入る。
日本人観光客も多く訪れる「ホンデ」の由来である弘益(ホンイク)大は一般的には「中上位」と見られている。この大学は芸術系が有名でそのラインではトップレベルの大学だ。
また日本と大きく違う傾向は「理系の大学が『別枠』で超トップレベルと見なされること」そして「地方大学の人気が年々下がっていること」。
KAIST(韓国科学技術院)、浦項(ポハン)工科大学校が有名。いっぽう地方大学の雄とされてきた釜山大は第2の都市圏を形成する名門国立大学として知られてきたが……今回のランキングでは「IN SEOUL」に押されるような形で7位にとどまっている。
文=吉崎エイジーニョ(編集長)