4月には新たにBTSのJ-HOPEの関連ニュースが届いた。こういった話が出る度に日本メディアで使われる「坊主頭」「入隊」という2つのキーワードについて、ちょっと細かすぎるけど正確な情報を。両者ともに間違いではないのだが、細かい意味を知るとより本人たちの状況が分かる。
日本ではよく「軍隊行き前に坊主頭」と報じられる。確かに韓国語でも「カッカモリ(坊主頭)」と言われている。いっぽうものすごく厳密に言うとサイドとトップの長さに違いがある「スポーツ型」も可能だが、本人の意思で坊主にしているというところだ。
韓国兵務庁の公式サイトでは「入営時の留意事項」として「準備すべきもの」を次のように紹介している。
韓国兵務庁サイトより 筆者作成
入営通知書/身分証明書/ナラ・サラン(国を愛する)カード=軍人用デビットカード/カードに少額入金(1~2万ウォン)/メガネ/資格や免許のコピー/服用する医薬品
その最後の項目として
「服装は簡素に」
「頭髪は端正なスポーツ型(剃髪は禁止)」
「スポーツ型」の中には「坊主頭」も含まれる。だから厳密に言うと間違いではない。ただし「坊主頭にしなくてはならない」という解釈は間違い。じつのところ、
ほんのちょっとだけなら伸ばしてもよい。
以下は「入営時の髪型の基準」。サイド1ミリ、トップと前髪3ミリ以内までは許可されている。そうであっても「坊主頭」に見えるのだが…。
いっぽうで禁止されているのは「剃髪」。つまりスキンヘッドはダメですよということ。これは「端正なスポーツ型」ではない。何より「目立って敵に見つかりやすい」からか?
陸軍では2021年頃から「頭髪自由化」の動きもある。理由は「髪型が自由な将校と一般兵の差があるのがおかしい」「他国では差がある事例が少ない」。国家人権委員会側が国防部に勧告を行っているが、国防部がルール変更を実施できていない。「世論がどうなのか情報が集まっていない」という理由からだ。
2022年12月の「ハンギョレ新聞」は、「この先、兵役に臨む芸能人の『短い髪』の姿がなくなる可能性もある」と報じている。
日本のメディアではよく「入隊」と書かれるが、これは厳密に言うと「入営」。大きな意味では間違っていないが、韓国では今のJ-HOPEのような「今日から兵役期間が始まる」という状況を「入営」と記すことが多い。
入営とは「軍人たちが駐屯する建物(=兵営)に入ること」。
入隊とは文字通り「軍隊に入ること」。
厳密に分けると違いがある。なぜなら兵役が始まった日から通常は5週間ほどは「隊が決まっていない」状態なのだ。これから兵役期間が始まる男性はまず「入営部隊(新兵教育隊)」に行く。ここはいわば「基本研修センター」で、実際に入る部隊とは別もの。ここで「基礎軍事訓練」を受けるのだ。
この期間には「軍人としての心得」を学んだ後「銃や手榴弾の扱い方」「夜間移動の練習」などを教わる。
その後本人の希望や選抜を経て、陸軍・空軍・海兵隊・海軍などに行く。韓国ではここで初めて「入隊」という言葉を使われることが多い。
(了)