いま韓国でコンビニ行くと、「NewJeansが目に飛び込んでくる」感じになってる。
どういうことなのかというと…「韓国版ポッキー」とも言える、Pepero(ペペロ)のNewJeans特別バージョンが店頭で大々的に展開されているのだ。価格は1万4000ウォン(約1530円)から1万8000ウォン(約1971円)の大きな箱だ。4バージョンほどが店頭に並んでいる(陳列のない店もあり)。
国内最大手の製菓メーカー「ロッテ」の肝煎り商品だ。なんといっても韓国では11月11日は、同社およびコンビニ業界の重要な日なのだ。
ペペロデー。
両業界にとって、年間最大の売り上げがある記念日。
1993年に釜山の高校生が始めた、とされる「ペペロを贈りあう日」。何か由来のある記念日ではない。11月11日の数字がすべてペペロ(ポッキー)のように棒状に並ぶから、ということ。
しかし非常に認知度が高い。2011年の「プレミアムペペロデー」では、大邱市の中高の50%が休校日となった。「製菓メーカーの影響が強すぎるイベントを避ける」という意味合いだった。
日本にも「ポッキー&プリッツの日」は存在する。ではなぜ韓国ではこれほどまでに活発なのか。日本と韓国では、中高生の年間カレンダーが少し違うからだ。
日本 3学期制(地域によって違いあり)
1学期 4月スタート
2学期 9月スタート
3学期 1月スタート
韓国 2学期制
春学期 3月スタート
秋学期 9月スタート
つまり、日本と同じように女性が男性にチョコレートを贈る傾向の強いバレンタインデー(2月14日)は「春休み中」。そしてホワイトデー(3月14日)は「新年度の始まりであまり学年やクラスのなかでコミュニケーションが取れていない」。
韓国では日本の統治下だった1945年までは日本と同じ「4月スタートの3学期制」だったが、その後2学期制に。1960年代序盤までは「新学年が9月スタート」や「4月スタート」という時期もあったが、1962年以降は「3月スタート」が定着している。
だから11月というのはバレンタインデーよりもホワイトデーよりも「仲がよくなっている時期」。しかもペペロデーは「男女双方がペペロを贈りあう」習慣ゆえ、このお菓子の需要が高まる。また、11月中旬と言えば韓国では大学受験も控えているから(今年は11月14日)、「受験頑張ってね」という意味合いも込められている。
この記念日に大手ロッテ系列のペペロの製造・販売元「ロッテウェルフード」はNewJeansとともに勝負に打って出た。
なにせ、同社は2020年からの世界的なペペロデーのキャンペーンにより、2023年には、2020年比の80%増の売上を記録した。輸出額で言うと540億ウォン(59億円)にまで成長している。
そこに、昨年に続いてのNewJeansの広告モデル起用。同社はこう説明している。
「世界的に人気を集めているNewJeansと共に、メインストリーム市場であるアメリカを中心としたグローバル市場攻略を始動する予定」
アメリカでより積極的なキャンペーンを展開した他、今年は、ターゲットの国を昨年の13カ国から15カ国に増やし、シンガポール、フィリピン、メキシコなどでも展開した。
で、気になるのはこの点だ。
「昨今の内紛で、韓国でのNewJeans人気に陰りが出てるのではないか?」
韓国メディア「アジア経済」のキム・ヒョンミン記者が言う。
「現在、韓国ではNewJeansの人気は大きく低下していないとみられています。大きく変わった面もありません。ミン・ヒジン氏の一件とは別に、NewJeansの音楽性やパフォーマンスに対する大衆の評価は変わっていません。そのため、広告モデルとしても企業が継続して起用しているようです」
キム記者はまた、この点からもNewJeansのペペロデー広告起用の意味を感じるという。
「最近の韓国では、広告モデルにまだ認知度の出ていない女優などを多く起用する傾向があります。著名人よりも『実際に自分も商品を使ってみる感覚』が得やすく、共感も得やすいからです。こういった傾向の中でNewJeansを広告モデルとして選定しているということは、より一層特別な意味があるとも考えられます」
10月下旬に現地のコンビニで話を聞くと、陳列していない店舗では「発注したけどまだ届かない」というところもあった。ロッテのNewJeansキャンペーンでは本稿で紹介した限定パッケージのほか、オンラインでもコンテンツを発表している。
(初出:Yahooニュース EXPERT)