筆者撮影
韓国でトレンドを取材中に、ふと耳にするキーワードがある。
「ポップアップストア」。
日本語に言い直すなら「期間限定特別店舗」。大型デパートの一角や、専門スペースにてアーティストやブランドの限定商品や特別な体験が楽しめる場所のことだ（メイン写真は2023年8月に開催されたITZYのもの）。
今年5月に韓国で「MZ世代向けのかわいいお守りが流行」というテーマを執筆した際、お守りを作っている現地の人気イラスト「チェゴシム」のポップアップストアが大人気だという話を聞いた。平日の昼から行列ができているのだという。
今年8月上旬にはITZYのカムバック記念のポップアップストアを訪れてみた。3000円ほどの買い物でおまけたくさん。さらにメンバーの直筆メッセージも目にしてホクホクだった。
名前の由来はインターネットのポップアップ広告から。短期間だけ現れる特性が表現されている。独自のコンセプトやデザインで、顧客に新しい体験を提供する魅力的なステージとなっている。
これがかなりのトレンドになっているのだ。
6月6日付の韓国メディア「eニューストゥデイ」はこう伝えている。
1週間で2万人訪問も…MZ世代の「必須」として上り詰めたポップアップストア
最近、流通業界では企業・商品の宣伝手段としてポップアップストアを選んでいる。実際に、昨年ソウルの「THE HYUNDAI」で開かれたポップアップストアは250店以上もあり、先月、成水洞（ソンスドン）だけでも31店のポップアップストアが開催されたことが判明した。
増加の理由は、MZ世代の積極的な反応によるものだ。トレンド研究メディアの「カレット」が行った調査によれば、Z世代の97.2%がポップアップストアへの訪問経験があることが確認された。また、81.6%が「ポップアップストア訪問後、該当ブランドのイメージが前向きに変わった」と回答した。
最近のポップアップストアの成功例としては、KAKAOスタイルが運営するeコマースのプラットフォーム「ジグザグ」が挙げられている。先月25日に最初のポップアップストアをオープンしたジグザグは、オープン後1週間で約2万人が訪れた。
97.1%とは！
トレンドに敏感な韓国MZ世代のほとんどが「一度は行ったことがある」ということだ。東亜日報系の伝統ある月刊誌「新東亜」も2023年6月号で「今が全盛期のポップアップストア」という記事を記すほどだ。
K-POPアイドルによるポップアップストアの流行は、パンデミック時代の終息とともにより盛んに。特に新しいアルバムのプロモーションに利用されている。
その始まりは、SMエンターテインメントが2013年に開設したSMタウンの店舗から。限定商品や体験を提供することで、アイドルやブランドとファンの特別なつながりが築かれます。コラボレーションやSNSを通じたマーケティング効果も素敵。若者層にとって、新しいトレンドを追求する場として、また、SNSで共有するビジュアル的な要素も強く、人気を集めている。
最近では、こんなポップアップストアが韓国内で展開された。
NEWJEANS: 2022年8月に新人アーティストとしては初めてポップアップストアの聖地「THE HYUNDAI」にて開催。20日間で1万7000人以上が訪れ、平日昼にも入場を待つ列ができたほど。最終日には終了時間の4時間前に入場予約が締め切りになるほどの大盛況に終わった。
SF9の体験型ストア: ミニアルバム「THE PIECE OF9」の発売を記念し、「エスケープルームオブ9」のコンセプトストアの展開。
NCTとサンリオの連携: サンリオとのコラボレーションポップアップストアでのNCTメンバーとハローキティなどのキャラクター結合商品の提供。
BLACKPINK: 「Pink Venom」のコンセプト空間の公開、ファンへの限定品の提供。 SMエンターテインメントの多様な戦略: 継続的なポップアップストアの運営、アイドルのアイデンティティを強化する商品の展開。
ファンとすれば、限定商品や一度限りのイベントで、心踊る興奮や参加意識が得られる。ちょっと買い物をするとオリジナルのステッカーなど、おまけがかなりもらえるもの魅力だ。アーティストやブランドにとっても、ブランディングと収益の向上、新しい市場への進出が狙えるメリットが。
このポップアップストア、ソウル市内で多く開催される場所は2か所ある。
ひとつめはソンス洞。
もうひとつは汝矣島の高級デパート「THE HYUNDAI」。
ソウル訪問の際には、この新しい文化を体感してみてはいかが？