【韓国トレンドキーワード】 ギャルピース 90年代日本発祥のポーズが2022年の韓国で流行 なぜ?

「ピースを下向きにやって、時に前腕を反らせながらかわいらしく見せること」。

韓国で2021年12月中旬頃からじわじわと流行が始まった。芸能人、スポーツ選手などがSNSや写真撮影時にこのポーズを見せている。ファンが芸能人との記念撮影を行う際に「やってみて」とお願いするケースもある。

2022年5月下旬時点でのインスタグラムのハッシュタグの投稿数(韓国語で”ギャルピース”=갸루피스)には1万5000の投稿が集まっている。いっぽう日本語では4919。「韓国で流行っている」という話題が逆に日本に入ってきて、若者の間でも関心を集め始めているのだ。「元々日本にあるものが韓国で流行り、日本で再流行」となれば、日韓の文化でも新たな流れになる。

ルーツは日本の90年代ギャル文化。
まず、これが2010年代以降の日本で静かな復刻を見せていた。

東京に暮らす2000年代生まれの10代女性に聞いても「知っている」。こなれた人だと指や前腕を反らせるという。2018年の邦画で90年代ギャル文化を再現した「SUNNY 強い気持ち・強い愛」に関する記事で「ギャルピース」が出てくる。また人気YouTuber(登録者200万人)のけみお氏の楽曲(2018年)にもギャルピースが登場する。その他、「弘前経済新聞」の2022年1月9日の記事では「ギャルピースで応じる笑顔の新成人たち」の姿を報じた。

2022年の韓国で流行る理由

これがなぜ、韓国で流行っているのか。

要素が3つある。

①韓国の「NEWTRO」ブーム。

「NEW」と「TRO」を合わせた造語。
2010年代中盤からの韓国でのトレンドに「ギャルピース」も乗った。「若い世代がレトロなものを新しくアレンジして楽しむ」というもの。同時に上の世代も昔を懐かしむ。マーケティング的にもコア層を2つ作れる。

テレビドラマでも1997年を振り返る「応答せよ1997」が流行した。日本でも「登美丘高校ダンス部がバブル時期の荻野目洋子楽曲を再現」が流行ったように。

②韓国にとっての「レトロ」の対象が「日本」にも。

ブームが始まったばかりの4月16日、韓国メディア「亜洲経済」のYouTubeチャンネルでは以下のように紹介されている。

「日本のギャル族についてはドラマやニュースで見たことがあるでしょう?」

「ここから生まれたギャルピースを最近では韓国でも芸能人がやったり、ファンが芸能人に”やって”とお願いしたりしています」

元々、韓国では日本の90年代の「ギャル文化」はよく知られているものだ。2010年代には、地上波で放映されるコントに「日本っぽい」ものとして「ガングロギャル」が登場するシーンもあった。

また、韓国のユーチューバーが日本のギャル文化について、こういった的確な解説を行う動画もある。

「90年代から安室奈美恵、浜崎あゆみ、倖田來未とアイコンが変化し、その後2010年代からAKB48の台頭によりおとなしくてどこにでもいそうなスタイルが主流になった」

つまりは、「懐かしさ」の追求を韓国を超えて、日本にも求めたのだ。あるいは日本のギャル文化が、韓国人にとっても「何か昔見たもの」の一環として捉えられているとも言える。外国文化か自国文化か関係なく、懐かしいものとして。

英語で書くと「Gal Peace」。「Gal=ギャル」は韓国語で表す時、子音のlにつく子音のUを外して表記できる。しかし意図的に子音をつけることで「日本っぽい雰囲気」を作っているように感じられる。また「ピースサイン」は韓国語では「Vポーズ」。これも日本っぽさを出そうという印象だ。

③K-POPの日本人メンバーが主導役に。

前出の「亜洲経済」は「ギャルピース」について次のような説明も加えている。

「やはり、日本発祥のものだけにK-POPの日本人メンバーが慣れ親しんでいるように思います」

韓国最大のポータルサイト「NAVER」でこの単語が初めて登場したのが4月5日。大手経済紙「毎日経済」系の「MKスポーツ」がこう報じた。

「aespaジゼル、さわやかなギャルピース」

左の大きな写真が「ギャルピース」だ。

彼女のSNSでの写真をメインに伝えた短い原稿では「ジゼルはさわやかにギャルピースを取り、ファンの視線を鷲掴みにした」と紹介した。

その後、韓国で次々と報じられ始め、時を同じくして日本でもじわじわと報じるメディアが出てきている。これ以前にも2021年デビューの「IVE」のレイが昨年12月7日にファンと交流するアプリおよびSNSで披露しており、韓国では「彼女が流行の発端」「レイポーズ」とも言われている。

ポイントは、2人がかなりスゴいK-POPグループの日本人メンバーだということだ。

ジゼルは韓国の多国籍グループ「aespa(エスパ)」所属。2000年10月30日生まれの21歳。父親が日本人、母親が韓国人のハーフで国籍は日本。内永えりが本名。ソウル市江南区生まれで、東京都で育った。

「aespa」は2020年11月17日デビュー。1作目からいきなりアルバム50万枚を売上げ、2作目では国内音楽番組で8度一位を獲得。これまで5作のうち、もっともYouTubeの再生回数が多い楽曲は2億超えで、アメリカのFOXからも「このグループの存在が勝利」と評されたことがある。少女時代と同じSMエンターテインメントの所属だ。

レイ(直井怜)は、2004年2月3日生まれ、愛知県名古屋市出身の18歳。韓国のオーディションに合格後、2018年に渡韓。ソウル公演芸術高校実用音楽科を卒業した。グループではラップを担当する。

彼女の所属する「IVE(アイヴ)」は韓国の国民的チャットアプリ「カカオトーク」系列の事務所から2021年12月にデビュー。即刻「第4世代の代表的グループ」との評価を受けている。何せデビュー前から「ビジュアルがとんでもなくスゴいグループ」と話題になり、1曲めから13の音楽番組で1位を獲得した。YouTubeの再生回数もいきなり1億回を超えている。

「日本が発祥だから、日本人メンバーがやってる」という構図が分かりやすいか。最近では多くなったK-POPの日本人メンバーの影響もあり、韓国の他のアイドルたちも次々とSNSで披露しているのだ。

その他NMIXXのソリュンとベイ、Redvelvetのジョイ、少女時代のテヨンほか、4月13日にショートトラック世界選手権を終え帰国した選手団もこれをやり、「NEWS1」が「ギャルピースも完璧に」と伝えた。

K-POPの日本人メンバーのステイタスが認められていることの証でもある。

また、(繰り返しになるが)仮に今後「日本でもブーム」となれば「元々日本のものが韓国でも流行った、という触れ込みで、日本でも再流行」という新たな文化の流れを作ることになる。

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